漂泊の家〜八月、鳩は還るか〜|烏丸ストロークロック – Karasuma Stroke Rock


「八月、鳩は還るか」公演チラシ

あらすじ

いつもその村には風が吹いていた。わたしたちはそれを見ていた。
雲は確実な力によって次々と、滞ること無く流れていった。自然の成り立ちは明らかで、絶えず世界は大気と共に流れていた。無論わたしたちもそこに属していた。
深い雪は岩場を伝って流れ去り、地中深くに沈み、溜まり、流れ、同様に降った雨は羽衣のように山を白く覆った、漂った、立ち上ったかつて、かつて、ただただ当たり前で、圧倒的な営みの中に高潔なわたしたちはあった。わたしたちは含まれていた…。

2012年。東京の出版会社の編集者である飯田みどりと天童彰は、石川県珠洲市馬緤峠(まつなぎとうげ)で農業ビジネスを展開する、財団法人八月会の取材に訪れた。廃校跡を利用したその敷地で住人たちが共同生活をしながら、それぞれ農業、養鶏、養豚などにたずさわっていた。ヤマギシ会さながらのその組織にリーダーは存在せず、組織の意志決定は持ち回り制である「運営委員会」を設け、すべて住人たちの合議によって運営がなされていた。
季節は秋。住人たちはいつにも増して多忙のようだった。日中の農作業と平行して、夜には毎年恒例の収穫を祝う祭りの準備に追われていた。今年は皆でお芝居をするという。催しの責任者も、一般人を呼んで八月会のすばらしさを宣伝すると意気込んでいる。

練習が始まる。幕があく。一人の女性がぽつぽつと語り出した。内容はある男についての話だった。
岡田ケン。知らない名前だった。

―2010年上演。
2005 年。上演時間たった15分の『メモ』と題された無言劇からはじまった烏丸ストロークロックの『漂泊の家』シリーズ。

宿命的な孤独にさいなまれながら、家族を求め、さまよい続ける岡田ケンの半生を、2007年に第1話『白波荘をめぐる半年』、2008年には第2話『六川の兄妹』を十数回の試演会と共に上演してきました。そして2010年。
今作ではこれまでのエピソードの再構成をおりまぜながら、漂泊し続けたケンの「ひとつの終わり」を描きます。不変の「帰る場所」である「家」。ケンが行き着く家はいずこに?
烏丸ストロークロックが5年間をかけて紡ぎだした物語が、ようやく一つの終幕を迎える。

上演データ

作・演出 柳沼昭徳
出演 阪本麻紀/片山奈津子/浅井浩介/犬飼勝哉/内田和成(e-dance)/大村史子(劇団ひまわり)/斉木りさ/崎田ゆかり(第三劇場)/高橋志保/辻智之/中川裕貴(N.O. N、swimm)/中嶋やすき(劇研シニア劇団)/長田美穂/新田あけみ/長谷川直紀/松本S一/安田一平(ニットキャップシアター)/山邉明日香
スタッフ 舞台監督:清水忠文 照明・美術:魚森理恵(GEKKEN staff room) 音響:狩場直吏(KTカムパニー) 音楽:中川裕貴 美術製作:松尾如美 記録写真:東直子 映像・宣伝美術:六川クリエイト  制作:烏丸ストロークロック/本郷麻衣 企画・製作・主催:烏丸ストロークロック
日時 2010年3月5日~14日
会場 京都・アトリエ劇研